パーキンソン病(PD)やレヴィ小体型認知症では、神経変性のために、ドパミン系の神経が減少しています。実は、嗅覚の神経(嗅球)は、脳の一部であり、この嗅球を構成する神経は、ほとんどがドパミン系の神経なのです。この為に、ドパミン系の神経が減少して発症するパーキンソン病やレヴィ小体型認知症では、比較的初期の段階から嗅覚が低下してきます。
認知症の代表的な疾患であるアルツハイマー型認知症(AD)では脳の中で記憶に関連する側頭葉の海馬の萎縮が知られています。嗅覚の神経回路はこの海馬のすぐ近くを通るため、海馬が変性萎縮をきたしてくると、一緒にこの嗅覚路も障害され、やはり、病初期から嗅覚低下がみられるようになります。